皆生ホテルに愛着はまだない。
若いスタッフも多かったと思います。その不安はありませんでしたか?
- 中島社長
-
結果的に予算内で計画を遂行させたという結果をみれば、年齢が若いといったことは特に重要なことではありません。
もちろん地元の協力があったらばこそだとはしてもクオリティを落とさずに予算を以前の計画と比べて抑えることができた。そういう役割はしていただいたと思っていますよ。
完成したホテルを観てどんな感想をお持ちですか?
- 中島社長
- まだまだできたばかりのホテルですから、生まれ育ち、どん底の状態から立て直した海潮園に比べれば当然愛着は現時点それほど強くありません。
愛着が湧くのは先ほども出たような改善点を少しづつ改善していった数年後のことになると思います。
最初はきれいなだけでもお客様が来ていただける。でもその先はもっと特色を出して本当の意味での競争に入っていくんだろうなと思っています。
- 木下稔
- 時間の経過という意味では僕が無理言って使わせていただいた銅板ありましたよね?
- 中島社長
- あー、いい色に変わってきましたね。
- 木下稔
- 毎回ホテルを訪れるごとに印象も変わっていくと思うんですけど、他の外壁にしても年を重ねるごとに重みを持つものになっていけば(海潮園と同じく)残っていって欲しいなと思えるものになっていったとすれば、自分の仕事も最終的に成功したのではないかと思います。
- 中島社長
経年変化がどの方向に向かうのかということは当初から念頭にありました。日本の建物はヨーロッパの建物のように使っていくごとに価値を生むというものではありません。10年20年経ったときに味が出るものにしたかったという点では(施主側と設計側で認識が)一致する部分があったと思います。
だから30年くらい長期に渡って運営してきたいと思います。
・・・まあロシアの投資家なんかに売っちゃうかもしれませんが。(笑)
- 木下稔
- (笑)
- 中島社長
-
いや、実際そんな話もあったりするんですよ。
ウラジオストックで店出さないかとかね。
- 木下稔
- 僕から見れば実際やるかどうかは別にして夢のある面白い話ですよ!
- 中島社長
- そんな話は嘘か真かといった感じですがロシアの天然ガス会社の福利厚生施設としてうちのホテルが載るんですよ。
皆生ホテルを将来的にどういったホテルにしてきたいとお考えですか?
- 中島社長
人口が減少していくことはわかっていますからね。皆生温泉全体でインバウンド(※外部から観光客を引きこむこと。)を強化するしかないでしょうね。実現するかは別として皆生の地が観光地というよりはバカンスを楽しむ保養地になればいいと思います。
この地域だけで決まったパイを取り合うようなことだけしていても未来はありませんよ。さきほどのロシアの話ではないですけど、ホテル業というのは外部からお金を稼ぐことができる業態です。とはいえホテルだけではサービスに限界があるので周囲のお店と提携することも大切です。ロシアの件は一例に過ぎませんが、これまでとはまったく違った客層をこの地に招き入れることによってこの地域全体が潤っていくこと、その役目をこのホテルで担うことができればと思います。
やはり一人勝ちではダメなんですよ。
- 木下稔
- 計画当初からそういったイメージは伝えきいており、実際にホテルができて前述のような外部から様々な話があるということは中島社長が計画当初から描いたことは現実に起こりつつあるということですよね?
- 中島社長
起こりつつありますね。当然まだまだ努力する必要があるとは思いますが。